○エッセイ〜食べ物編


2000年6月30日(金) 『おいしいな林檎パン』

近所にあるパン屋に 『おいしいな林檎パン』というのが売っていた。
味は新宿系・・・かとおもったら普通の菓子パンだった。
この手の便乗系ダジャレネーミングは昔からよくあって 以前コンビニで『わかたかラーメン』というのを
見たことがある。ワカメと高菜が入っているそうだ。キムチとたくあんの『キムタクラーメン』もテレビで
紹介されていた気がする。この調子で行けばウナギとタマネギとダイコンとヨード卵光の『ウタダ光』ラーメンとか
餅とニンニクとグレナデンソーダと天むすとメカブの『もーにんぐむすめラーメン』とか出る・・・わけないか。



2000年7月13日(木)『かんたんゼリーの素』

キューピーから「かんたんゼリーの素」というものが
発売されるらしい(7/11日経朝刊)
これを使うと ほとんどの液体が簡単にゼリーになるという。
・・・欲しい。

まずやってみたいのは みそ汁ゼリー(アサリの粒入り)だ。
冷たいゼリーを口に運んだ瞬間 口の中に広がるみそ汁の味・・
我々人類が まだ体験したことのない感覚に違いない。

スープカレーに入れて ゼリーライスを作ることもできる。
暑い夏にぴったりだ。

入れるだけでゼリーになるらしいので
炭酸飲料なども そのままゼリーに出来るかもしれない。
この場合 口に入れると しゅわっとするのだろうか?

バリウムをゼリーにしたら健康診断の時の憂鬱が減る。
その他にも液体窒素ゼリー・・硫酸ゼリー・・ニトログリゼリー・・
遊び方は無限大だ。

この商品 もともと液体を飲み込む力の弱くなった老人のために開発されたらしい。
しかしこんな楽しそうなものを老人だけに独占させてはもったいない。
かんたんゼリーの素・・発売は8月24日である。



2000年7月27日(木)『めしの半田屋』

36号線沿い、建設中の札幌ドームの隣に「めしの半田屋」という店がある。
ここがすごい。各人が食べたいものをトレイに乗せてレジで精算する
カフェテリア方式の定食屋(・・変な表現)なのだが並んでいる料理が
最初から冷めているのだ。店内に設置された電子レンジで温めてから
食べるというシステムらしい。合理的ではある。

そして一番驚いたのがライスの量! 中盛り、普通盛り、ミニとあって
私は普通盛りを頼んだのだが それでも丼に山盛りになったライスが出た。

ここまで読んで気付いた方も多いかと思うがこの店には大盛りがない。
メニューを見ると「当店のライスは多めに盛られているので中盛りでも充分です」
と言うようなことが書かれている。だったら今の中盛りを大盛りと名付けた方が
混乱がないような気もする。
いや・・ひょっとしたら大盛りは隠しメニューなのかもしれない。
店の常連になって店主にその食いっぷりを認められた者だけが
『大盛りのライセンス』を手に入れることが出来るのかもしれない。

店内には『生まれた時からどんぶりめし』と書かれたポスターが貼られている。
食事ではなく、ごはんでもなく、ましてやディナーでもない『めし』。
そう主張しているかのようだ。
店内は独身男性が多く あまりカップルの姿は見かけない。
それがいっそう『喰うための場所』という雰囲気をかもし出している。

徹底的な合理化によってこの店の料金は安い。
コストパフォーマンス的には札幌で一番ではないだろうか?
一品一品が安いので『カレーサラダサバみそ温泉タマゴ定食』や
『みそラーメンライスチキンカツスパゲティ』などまるで異種混合格闘技のような
メニューを黙々と食べている男たちがいる。

札幌ドームのすぐ隣にあるため2002年にはワールドカップによって今以上に
盛り上がることだろう。ロナウドが「大盛りを食わせろ」と暴れ出したり
トッティが「カレーが冷めている」と文句を言ったりする姿が見られるかもしれない。
札幌に住んでいる人は要チェックである。

・・・あっ! 味のことを書き忘れた。
味は各個人の好みなので ぜひ自分の舌で確かめて欲しい。



2000年8月27日(日)『バンドエイド入り餃子』

蛾入りチョコレートや焼き網入り煎餅、蟻入りパンなど
相変わらず食べ物にいろんなものが混じっている。

私も昔、市ヶ谷でバンドエイド入り餃子を食べたことがある。
恐らく挽肉をこねる際に混入したのだろう。
・・あの時の薬品くさいガーゼの味は忘れられない。
さすがに腹が立ってお店の人に見せたら料金をタダにしてくれた。
「ラッキー!」と思いながら店を後にし、その後も何度か同じ店に行っている。

私のような客ばかりだったら、明るみに出る事件ももっと少なかったのだろう。



2000年8月28日(月)『激辛ブーム』

私が大学生の頃、激辛ブームがあった。
コンビニには辛いインスタントラーメンやお菓子類が売られ
ラーメン屋は唐辛子で真っ赤な地獄ラーメンなどを出し
辛さ100倍に挑戦! というようなカレー屋が流行った。
このころのテレビ番組で「インド人は何倍の辛さのカレーでびっくりするか?」
という企画があった。この時は確か50倍ぐらいで

インド人「あ・・びっくりです。」

と言っていたように記憶している。

レトルトカレーの「LEE10倍」やスナック菓子の「カラムーチョ」が出たのも
確かこのころだったと思う。ちなみに当時のカラムーチョのパッケージには
「こんなに辛くてインカ帝国」というコピーが書いてあった。

この激辛ブームが最近になって復活してきたように思える。
コンビニにも「麺に唐辛子を練り込んだカップラーメン」などが売られている。
唐辛子の成分にダイエット効果があるということなどが主な理由だろう。
辛い物好きの私としては嬉しい限りである。

最近買ったのは辛さ二倍のタバスコ。タバスコは使いすぎると辛さよりも酸っぱさが
目立ってしまうのだが、これならちゃんと辛いスパゲティが食べられる。
富士食品から出た「Oh!Hot」という粗挽き生唐辛子もいい感じだ。
小さじ半分ぐらい食べてみたらぼわっと頭の毛穴が開き、どっと汗が出た。

こういう極端な味覚というのは今のところ「辛さ」しか追求されていない気がする。
「激甘」とか「激ニガ」とか「激しょっぱ」などは売れないのだろうか?
個人的には「激クサ」ブームが来て欲しい。ドリアンジュースやくさやせんべい
ブルーチーズガムや30倍納豆などがコンビニに溢れる時代・・ちょっと魅力的だ。



2000年10月10日(火)『豚丼対決』

先日帯広の二大豚丼、「新橋」と「ぱんちょう」を食べ比べてみた。
この二つ、同じ「帯広の豚丼」という言葉では括れないくらい違った料理になっている。

新橋の豚丼は薄くて小さめの豚肉にどろっとした真っ黒なタレがかかっている。
このタレの味がすごく複雑だ。甘いような辛いような香ばしいような・・
ちょっと一言では言い表せない。
この味が合わないという人もいるだろうし、人によっては食べた後
妙に気になってまた食べに来て・・という感じでいつのまにか病みつきに
なっていることもありそうな味だ。

ぱんちょうの豚丼は厚くて大きめの肉で味付けもオーソドックスな分
誰が食べてもおいしく感じると思う。反面、一度食べたら納得してしまい
また並んでまで食べたくなるかどうかは疑問だ。

・・・って、ダイエット中に何をやっているのだろう・・・



2000年10月13日(金)『牛丼戦争』

♪ここは吉野屋 ♪味の吉野屋
♪ぎゅーどん一筋・はちじゅーねん

このCMソングを覚えている人は何人ぐらいいるのだろう?
さっきホームページを見たら「創業102年」と書いてあった。

あれからいつの間にか22年が経ってしまったわけだ。

牛丼屋は学生時代からよく利用していた。
当時通っていた駅前には「吉野屋」「松屋」「牛丼太郎」などがあって
「高田馬場牛丼戦争」と呼ばれていたものだ。

しかし札幌に転勤になってから私の牛丼生活にピリオドが打たれる。
当時、札幌には牛丼屋がなかったのだ。
これは転勤して来たばかりの私にとって「札幌7不思議」のひとつだった。
ちなみに残りの「6不思議」は以下の通り・・

<1> なぜ札幌には立ち食いそば屋が少ないのか?
<2> なぜ札幌のファミレスは「ロイヤルホスト」ばかりなのか?
デニーズやアンナミラーズは進出しないのか?
<3> なぜ札幌には「たたみいわし」が売っていないのか?
<4> なぜ札幌ラーメンはあんなにも味が濃いのか?
<5> なぜ札幌人は外でジンギスカンをやりたがるのか?
<6> なぜ札幌の赤飯は甘いのか?

・・・全部食べ物ばっかりだ。
このうち<4>に関しては私の方が濃い味に慣れてしまったので
謎は謎でなくなったのだが残りの5つに関しては未解決のままだ。

話を牛丼に戻す。
私の「なぜ牛丼屋がないのか?」という問いかけに対し周囲の人たちは
「以前、大通りの付近にあったけど潰れた」
「こっちじゃ流行らない」
「北海道には牛肉を食べる習慣がない」
「牛丼ってあんまり好きじゃない」
・・・と醒めた反応しか返ってこなかった。
仕方なく東京に出張するたびに牛丼屋に立ち寄り「青春の味」に浸っていた。

しかし、それからしばらくして札幌に吉野屋が再進出すると
以後、あっという間に店舗が増えて行った。
10年前に返ってきたネガティブな意見はどこに行ったのだろうという感じだ。
今では札幌だけでも10店舗になる。(2000年8月現在)
当時の新聞には「郊外型の店舗展開が良かったから成功した」と書かれていたような
記憶がある。

ただ、これはあくまでも個人的な印象なのだが・・
北海道の人は食べ物に対して保守的な人が多い気がする。
「知らない食べ物」→「珍しいから食べてみよう」と考える人よりも
「知らない食べ物」→「とりあえず他の人が食べるのを見てみよう」と
考える人の方が多いように思えるのだ。
これが牛丼にも当てはまっていたのではないだろうか?

「えー? 牛丼? スキー場とかで売ってるヤツでしょ?
そんなのおいしくないよ! だったら『みよしの』のカレーの方がいいって!」

この心理的なブレーキが外れたため吉野屋は一気に普及したのではないだろうか?
だとしたら牛丼はまだまだいける。北海道全体で吉野屋はまだ14店舗しかない。
これは東京都新宿区の店舗数と同じだ。北海道の広さを考えたら圧倒的に少ない数字だろう。
ここはぜひ、松屋も牛丼太郎も進出して「北海道牛丼戦争」を始めて欲しい。



2000年10月16日(月)『げてジュー』

「ちょっとのどが渇いたね」そう言って妻がお茶を買った。
蕃爽麗茶(ばんそうれいちゃ)という名前の「体にいい」お茶だった。



しかしその数秒後、蕃爽麗茶を一口飲んだ妻が固まっている。
私も飲んでみたが・・・・ものすごくまずかった。

妻「これ、体に合わなかったらどうしよう・・」
と妻が心配していたので残りを私が全部飲んだ。
「体にいい」お茶を飲んで「気分が悪く」なっては意味が無い。

妻「口直しに別のもの飲みたいよね」
そういって妻が買い物袋から別のジュースを出す。
・・・パッケージには黒豆ドリンクと書いてある。

私「これもきっと、まずいと思うよ。黒豆の煮汁みたいな味がするはずだよ」
妻「でも、清涼飲料水って書いてあるよ」

清涼飲料水というのはお酒でも乳飲料でも無いという分類であって
決して味が清涼な飲み物という意味ではない。
その証拠にさっき飲んだ蕃爽麗茶にだって清涼飲料水と書いてあった。
仕方なく自販機で爽健美茶を買って飲んだ。

この「体にいい」というのはマジックワードだ。
どんなに酷い味でも体に良ければ全てOKという風潮がある気がする。
その後、黒豆ドリンクも飲んでみたがこちらも期待に違わずまずかった。
しかも原料には予想通り「黒豆の煮汁」と書かれていた。

私は未体験のジュースを見つけるとつい飲んでしまう傾向があるため
こういうまずいジュース、略称「まずジュー」に当たる可能性が高い。
以下、記憶に残っているものをまとめてみる

白い恋人ドリンク
値段が高い。激甘。しかも白くない。
ファンタストロベリー
インドネシアで見つけて飲んだ。下品な甘さ。独特のクセもある。
「ファンタ」も「ストロベリー」もまずい要素にはなり得ないと
信じ込んでいたためショックは余計に大きかった。バッタもの?
かきジュース
メーカー不明。柿をそのまま食べた方が100倍おいしかった。
紅茶スカッシュ
予想通りまずかった。そもそも紅茶をスカッシュさせる理由がわからない。
メッコール
好きな人もいるらしいが私にとっては「罰ゲームのような」味。
缶入り甘酒
青色パッケージの冷たくして飲むタイプ。もともと甘酒は好きではないのだが
(だったら飲むなという気もするが・・)超絶にまずかった。
サスケ
発売当時、画期的なCMで話題になったが、今はその伝説的なまずさで
話題になっている。「コーラの前を駆け抜けるヤツ」というコピーの通り
駆け抜けたままどこか遠い世界へ走り去ってしまった。
クリア・コーラ
コカコーラ社から出た透明なコーラ。「それはサイダーだろ!」という
突っ込みをあちこちで受けているうちに自然消滅した。
マリンクラブ
赤、青、緑などの毒々しい色のソーダ。歯磨き粉の味がした。

これら「まずジュー」のさらに上を行く存在を「げてものジュース」・・・
略して「げてジュー」と呼んでいる。

35年生きてきて一番まずかったジュース。
つまりマイ・ベストげてジューは「維力」だ。ウィリーと読む。
冷たくして飲んでも充分まずいがこれの生ぬるいヤツを飲むとショックを受ける。
ごく控えめに言ったとしても「人知を越えたまずさ」だ。
もう発売中止になっているジュースだから正直に言うが
飲むと生きる希望をなくす。20年以上経っても忘れられないくらいまずい。
確かこの「維力」も体にいいという触れ込みだった気がする。
やはり「体にいい」と「味がよくない」はコインの裏と表なのだ。

最近寂しいのはこの「維力」の存在を知る人が少ないことだ。
是非あのまずさについて誰かと語り合いたいのだが・・・
<追記>
その後また、勇気を出して蕃爽麗茶を飲んでみたのだが
意外なことにちゃんと飲めた。味が改良されたのだろうか?
それとも我々がこの味に慣れたのだろうか?



2000年10月23日(月)『同じ店疑惑』

最近、狸小路6丁目を中心にラーメン屋が増え「めんこい通り」と呼ばれる
ラーメンの新名所になっているのだそうだ。
先日、その中の一軒「味噌らーめん本舗 寅の家」に行ってみた。

「味噌らーめん本舗 寅の家」は名前の通りみそラーメンの専門店だ。
その隣には「俺のしょうゆラーメン 龍の巣」という醤油ラーメンの専門店がある
偶然にしては出来過ぎている気がして二つの店を見比べてみた。
そこで気付いたのだが、どちらの店も暖簾の左側に以下のような文章が書いてある。

「『とらのいえ』とお読み下さい」
「『りゅうのす』とお読み下さい」

同じ場所に同じ「読み方の説明文」が同じ文字フォントで書かれている。
これは偶然ではない。確かめたわけではないがこの二つの店は恐らく系列店なのだろう。
そう考えると『寅の家』と『龍の巣』というネーミングも対になっている
龍と寅・・・「竜虎」である。
広辞苑を引くと「力量の伯仲した二人の強者のたとえ」と書かれていた。
「家」と「巣」も同じ意味の言葉だ。この二つの店が無関係であるわけがない。

ただ、そうなると疑問もわいて来る。
別の店を隣り合わせに作るより、広さを倍にした店をひとつ作った方が
人件費も光熱費も節約できて効率がよいのではないか?
それをやらずにあえて二つの店を出した理由は何なのだろう?
私なりに考えてみた。

1.専門店の方がイメージがよい
味噌と醤油、両方おいしいラーメン屋よりも
味噌専門、醤油専門と打ち出した方がより味にこだわったイメージが出せる。

2.リスク分散
二つの店を出すことで、片方の人気が急になくなっても、もう片方の売り上げで
カバーできるような体制を作りたかった。

3.ご新規さんの獲得
「めんこい通り」にこれだけラーメン屋が並んでいると
気に入った店に通い詰める客より、あっちの店こっちの店と食べ歩く
客の方が多くなると予想される。だとしたら店を分けより多くの
「ご新規さん」を獲得した方がよい。

色々考えてみたが今ひとつ決め手に欠ける感じだ。
で・・肝心の味なのだが、これは個人の好みということで・・・



2000年10月27日(金)『サラリーマン金太郎ドリンク』

コンビニで「サラリーマン金太郎ドリンク」を見つけた。
げてジューマニアとしては買わないわけにはいかない。
・・・しかし買う時もの凄く恥ずかしかったのはなぜだろう?



家に帰り、こっそり飲んでみた。
(なぜか会社で飲むにはちょっと抵抗があった)
・・・こういう飲み物は味がどうのこうのと言うものではない。
手軽に「金太郎気分」を味わえればそれでいいのだ。

課長島耕作ドリンクの時も感じたのだが、こういうキャラものドリンクって
どのくらい需要があるのだろうか? そもそも誰が買うのだろうか?

仕事帰り、独身サラリーマンが一日の疲れを癒すために
サラリーマン金太郎ドリンクを・・・買うだろうか?

大事な契約の日、若きビジネスマンがここで一発気合いを入れようと
サラリーマン金太郎ドリンクを・・・飲むのだろうか?

徹夜明け、へろへろになった状態の朝、女子社員が
「はい! お疲れさま!」とサラリーマン金太郎ドリンクを差し入れしてきたら
私はどう感じるのだろう?

金太郎ドリンクにはグレードがある。
100円台と、300円台のヤツだ。

上司が黙って300円台のヤツを手渡し・・

部下「これは・・?」
上司「胸を張って飲むといい。君はそれにふさわしい仕事をした!」

なんて激励したりしているのだろうか?
あと全然関係ないけどなぜ本宮ひろしキャラは「ぬがーーー」っと口を開けた時
納豆のような糸をひいているのだろうか?



2000年10月28日(土)『ラーメン屋』

渋谷公園坂を上がったあたりに「チャーリーハウス」というラーメン屋がある。
ここのラーメンはあっさりした醤油味で初めて食べたとき感動してしまった。
私にとっては「東京で一番おいしい」ラーメン屋なのだが
会社の先輩を案内したところ「普通の中華そばだよな・・」と
そんなに良い反応ではなかった。

味噌ラーメンは「大吉」がおいしかった。
ここは当時いた会社の下にあった中華料理屋だ。
よく通っていたのだがある日突然店を閉めてしまった。
新札幌の方に行ったらしいという噂も立ったが確かめた人は誰もいない。

その後、色んなラーメン屋に行き
おいしいラーメンをたくさん食べたのだが
感動的においしいと感じたのはこの2店だけだった。

ただ、この比較はフェアではないのかもしれない。
「チャーリーハウス」は遠くてなかなか行けない店だし
「大吉」は恐らくもう二度と行けない店だ。
記憶の中で勝手に美化しているのかもしれない。

・・・と、結局お気に入りのラーメン屋を見つけられないまま
私のラーメン放浪は続くのだ。



2000年11月21日(火)『デパ地下食べ放題』

例えばデパートの地下食料品売り場で5000円を払う。
すると、「デパ地下食べ放題チケット」を手に入れることが出来る。
これさえあればお店にある全てのものが食べ放題になる。
試食なんて生やさしいものではない。本気で食べられるのだ。

例えば鮮魚売り場で見繕ってもらった刺身を食べたり
揚げたてのコロッケを囓ったり・・
野菜売り場のキュウリに味噌売り場の味噌を付けて食べたり・・・

パン売り場で焼きたてのパンを食べたり
肉売り場で選んだ肉を焼いてもらったり・・・
お総菜売場のお総菜をちょっとづつ食べながら
食後は喫茶コーナーでコーヒーとたくさんのフルーツ・・・
・・・こういうサービスがあったらいいのになと思う。

食べ放題のお店に行って食べたい放題に食べるのは当たり前すぎてつまらない。
その辺にあるごく当たり前の地下食料品売り場で食べ放題をやってみたいのだ。
・・・歪んだ欲望だろうか?



2001年2月13日(火)『ラーメン日本一』

愛山渓ドライブインで入手したパンフレットによると
上川町はラーメン日本一の町らしい。ホームページもある。
パンフレットには『上川町ラーメン音頭』の歌詞が書いてあった。
これが面白い。歌詞は1番から14番まであり、それぞれがお店のアピールになっている。
メロディはわからないが典型的な七五調のリズムなので
『ドングリころころ』だろうが『水戸黄門のテーマ』だろうが
『荒城の月』だろうが何にでも当てはめて歌うことが出来る。
今回は歌詞のイメージからクレイジーキャッツの『五万節』で歌ってみた。

<1>
ここは上川町の三輪製麺 ラーメン作らしゃ日本一
大雪山の麗水で 真心こめて麺をうつ

<2>
ここは上川町のゴードーさん 北浜ラーメン日本一
メニュー豊富だどんとこい アイディア生かして勝負する

*こんな感じでいろんな店がそれぞれの日本一自慢をしている。

<3>
ここは上川町のあさひさん 手作りみそは日本一
ラーメンゆでて15年 作ったラーメン100万杯

*単純にわり算すると1年に6万6千667杯、年中無休で働いて
一日に約183杯のラーメンを作っていることになる。
ちょっと大げさな気もするがこれぐらい景気がいい方が楽しい。

<4>
ここは上川町のきよしさん 夜の出前は日本一
お酒の後にラーメンだ お酒がなくてもラーメンだ

*夜の出前って何なのだろう? 昼は営業していないのだろうか?
何がどう日本一なのだろうか? おいしいのだろうか? 早いのだろうか?
遅くまでやっているのだろうか? それとも、何か特別なサービスがあるのだろうか?
いずれにせよ他に誇るものはなかったのだろうか?
と、いろいろ疑問が湧くが2行目の歌詞が素晴らしい。

全部紹介するのはつらいので、ここから一気に12番まで飛ぶ。

<12>
ここは層雲峡のロープウェイ 黒岳ラーメン日本一
大雪山の中腹で スープに写る熊の顔

*なんだか2時間ドラマのサブタイトルみたいだ。
『ラーメン刑事の事件簿3〜上川町日本一ラーメン殺人事件
大雪山の中腹でスープに写る熊の顔!』・・ちょっと恐いと思った。
あと細かいことだが『写る』ではなくて『映る』が正しいと思う。

・・・と、色々突っ込んでしまったが
すごく楽しい歌詞なのでぜひメロディ付きで聞いてみたいと思った。
CDか何かは出ていないのだろうか?

ところで上川町のラーメンは日本一と言い切っている割には世間的にあまり
盛り上がっていないように思える。私は愛山渓ドライブインにしか行ったことがないが
本当に歌の通り日本一なのだろうか?
それと、パンフレットでは加盟14店とあり歌詞も14番まであるのに
ホームページでは13店しかないのはなぜなのだろうか?
あと、曲タイトルの『ラーメン音頭』は『温度』と掛けていると思うのだがどうだろうか?



2001年3月16日(金)『なると』

最近、『なると』の入ったラーメンを食べてないことに気付いた。
昔、実家の茨城で食べたラーメンには必ず入っていた記憶があるのに
札幌に来てなると入りのラーメンを食べた記憶がない。
念のため札幌ラーメンマップ99で確認してみたところ45店のうち、なると入りは
9店しかなかった。なるとは人気がないのだろうか?
例えば「ネギラーメン」や「海苔ラーメン」「モヤシラーメン」など
トッピングの量を多くすることで主役となったメニューがある。
しかし「なるとラーメン」と言うのは聞いたことがない。
丼一杯に、ずらっと豪華に並べられた店主こだわりの特選なると・・
・・あったら食べてみたい気がするのは私だけだろうか?
あるいは丼を覆い隠すように巨大ななるとが一枚、どかんと広がっていたら・・
魅力的・・に思えるのは私だけだろうか?

なるとに限らず、最近は練り物食品受難の時代のような気がする。
以前コンビニでカマボコの入っていない幕の内弁当を見た。
元々幕の内弁当は芝居の幕の内に見るからそう名付けられたわけで
『芝居が板に付く』と言う縁起の良さからカマボコは欠かせないものの筈なのだ。
コンビニで売っている時点で芝居とは全く関係なくなっているし
別にこだわる必要は何もないのかもしれないが、幕の内と名乗る以上
カマボコぐらいは入れて欲しいと思う私は古い人間なのだろうか?



2001年3月23日(金)『札幌フルコース』

接待モード。北の味覚を満喫する。
ただ私はエビカニアレルギーなので食べられるものに制約がある。

「これすごいうまいです。ふわふわして、カニのフルーチェみたいです。」

と、不思議な例えでお客さんが『焼きタラバ』を絶賛しても確かめることが出来ない。
(・・カニのフルーチェってどんな味だったんだろう?)
それでも北海道ならではの食べ物をお客さんが喜んで食べているのを見ると
別に自分が作ったわけでもないのに嬉しくなる。

ただ問題もある。『北海道ならではの食材』はそれほど種類が多くないのだ。
だからお客さんが来るたびに、魚介類やジンギスカンやラーメンを食べることになる。
中には一次会で魚介類、二次会でスナック、三次会でジンギスカン、四次会でバー
五次会でラーメンを食べた帰り道に肉まんを食う・・と言う札幌フルコースを
付き合うこともある。やってみるとわかるがこれは辛い。すすきのトライアスロンと
言い換えた方が適切かもしれないくらいのハードさだ。
ただお客さんとしては久し振りの札幌を一晩で満喫しようという意気込みなので
ガンガン責めてくる。私も食いしん坊なので目の前にあるものは負けずに食べる。
残すともったいないのでまた食べる。お酒も飲めないし、煙草もやめたので
間が持たなくてさらに食べる。
しかし最後のラーメンを食べ終えた辺りでいつも激しく後悔するのだ。
・・・絶対に、太ってるって・・



2001年7月6日(金)『同じ店疑惑2』

去年10月の日記で札幌狸小路6丁目・めんこい通りにある味噌ラーメン専門店『寅の家』と
醤油ラーメン専門店『竜の巣』が同じ系列の店ではないかという話を書いた。
この推理はどうも正しかったらしい。妻の話によると、その後放送された夕方の情報番組で
系列店として紹介されていたそうだ。

そしてさらに、同じ系列店としてカレーラーメン専門店『お亀や』と言う店も
オープンしたのだそうだ。

竜と寅、そして亀・・これはひょっとして四神(しじん=天の四方を司る神)の
青龍、白虎、玄武ではないだろうか? だとしたらどこかに朱雀があるはずだ。
・・・ちょっと考えてみる。

そういえば同じ狸小路に『火の鳥』と言うラーメン屋がある。
これが朱雀なのだろうか?

ネットで検索してみると公式ホームページが見つかった。ここにある『お店紹介』の
ページを見ると『火の鳥』『虎の家』『竜の巣』が並んで紹介されていた。

・・・わかってしまうと案外つまらない。



2001年7月22日(日)『ドリアンチップス』

すごいお菓子を見つけてしまった。
まずは写真を見て欲しい。



あの、果物の王様とも言われているドリアンをそのままチップスにした
まさにチップス界の王様・ドリアンチップス!
お店で見つけた瞬間、速攻で買った。価格は200円。
恐らく800円ぐらいしたとしても買ったと思う。
こういう変な食べ物は一期一会なのだ。
タイミングを逃してしまうと、もう二度と買うことが出来ない。

ワクワクしながら食べてみる。で、気になるその味は・・・

・・・映画『カサブランカ』にこんな台詞がある。

「世界中には星の数ほどバーがあるのに、よりによってなんで俺の店に…」

食べてまず思い出したのがこの台詞だった。
世界中には星の数ほど食材があるのに、よりによってなんでドリアンを
チップスにしようなんて思ったのだろう?

思いついて、社内に企画を通して、商品化して、お店がそれを仕入れて・・・
私がこのドリアンチップスを買うまでに、おそらくもの凄く長い道のりが
あったのだと思う。『プロジェクトX』みたいに名も無き人々が人知れず苦労した末に
こうして、今までに無い画期的な味のお菓子が生まれたのだと思う。

でも、私はあえて言いたい!
まずい物はまずい!

こういう変な食べ物は一期一会だ。
たいていの場合、予想通りにまずいし
ごくまれに、予想以上にまずいこともある。
いずれの場合も、一度食べたらもう二度と買うことはない。

ちなみに、ネット販売もやっているらしいので興味ある方はどうぞ・・



2001年7月24日(火)『あんごはん』

ふと思った。あんパンがあるなら『あんごはん』があっても良いのではないだろうか?
あんご飯・・つまり具があんこのおにぎりを想像すればいい。
ちょっとゲテモノっぽい気もするが、『内側と外側が逆になったオハギ』だと思えば
・・・いや、どう気持ちを切り替えてもまずそうに思える。

ジャムパン、コロッケパン、餃子パン、焼きそばパン・・パンには様々な種類があるのに
同じ主食でも、ごはんにはあまりバリエーションが無いように思える。
特に『甘いごはん』は、ほとんど見かけない。

想像してみて欲しい。
ほっかほかに炊いた特選魚沼産コシヒカリの上に
最高級の朝摘み女峰を使った手作りイチゴジャム。

・・・ごはんの白と、イチゴジャムの赤がコントラスト的に美しいはずなのに
ご飯もイチゴジャムも、どちらもすごくおいしそうなのに
この二つをミックスすると急にまずそうに思えてくるのはなぜだろう?

その他にも、はちみつごはん、練乳ごはん、ピーナツバターごはんなど
パンなら全然OKにも関わらず、ごはんだとヘナヘナな気持ちになってしまう食材は多い。
これはなぜなのだろう? ・・・ちょっと考えてみた。

ごはんというのは恐らく、我々日本人にとって特別な食べ物なのだ。
これは名前からもわかる。この『米を炊いた主食』は食べ物を代表する
『ごはん=food』と言う名前を持っているのである。
だからつい、食べ慣れない調理法に対して拒否反応を起こしてしまう。
私は食べ物に関してはそれなりに許容範囲が広いつもりでいるのだが
それでも、北海道の人たちがバター醤油ごはんを食べているのを初めて見た時
ちょっと違和感を感じてしまった。
だがしかし! 意を決してバター醤油ごはんを食べてみたら意外においしかった。
これと同じ事が他の『ごはんバリエーション』に対しても言えるかもしれない。

実際、エビの天ぷらをおにぎりに入れた『天むす』やタコスの具をライスに乗せた
『タコライス』は比較的歴史の浅い食べ物だ。これらのメニューも恐らく
世間のごはんに対する保守的な思考をうち破って生まれたものなのだと思う。

菓子パンがあるなら『菓子ごはん』があったって良いはずだ。
缶入りの甘酒があるなら缶入りの『おかゆドリンク』があったって良いはずだ。
いっそのこと発想を大きく変えて、一度炊いたごはんをさらに焼いてみたらどうだろう?
平らに潰して両面をこんがり焼き、醤油をたらして海苔を巻いたら・・ってそれは既に
『せんべい』と言う名前で商品化されている。

とにかく! 21世紀は甘いごはんがブームになる!
と、とりあえずここで予言してみることにする。



2001年8月03日(土)『呼び水』

食事などでガラガラの店に入ったにも関わらず、気が付くといつの間にか
満員になっている・・そんな経験はないだろうか?

私は昔からそういう傾向がある。
ひょっとしたら自分には、『お店にお客さんを呼び込む能力』があるのでは?
と、思ったこともあるくらいだ。

しかしこれはよく考えれば全然不思議な話ではない。
一般的にお客さんが一人もいない店に入るのは抵抗があるものだ。
しかし、そのことをあまり気にしない私のようなタイプの客が店に入ると
その瞬間から『誰もいない店』は『客のいる店』になる。
物理的に席が一つ埋まるだけではなく、店員が応対に動いたりするため
店の歯車が動き出すのだ。そうして活気が出てくるとまた別のお客さんが入り
そのことがさらに新しいお客さんの呼び水になる・・多分そういう理屈なのだと思う。

ラーメン横丁などに行くと客が全くいない店がよくある。
そういう店に限ってカウンターの中には従業員が3人ぐらいいて
前を通り過ぎるだけなのに『へぃ! らっしゃーーい!』とやたら威勢良く声をかける。
これでは余計に入りづらい。
店員を一人、私服に着替えさせてカウンターでスポーツ新聞でも読ませていた方が
よっぽど効率が良いと思うのだがどうだろう?
従業員は休憩中も時給が入ってラッキーだし、お客さんも入りやすいし
結果的にお店も儲かると思う。

これは聞いた話だが、コンビニの雑誌コーナーが必ず窓際にあるのもこの効果を
狙ったものらしい。店内を明るく、窓を大きくして、そこからお客さんたちが
立ち読みをしている姿を道行く人たちに見せることで、店内に入りやすい雰囲気作りを
しているのだそうだ。

お客さんは気兼ねなく立ち読みが出来て、お店も儲かって・・と
これも全員が幸せになれるいいシステムだ。



2001年8月05日(日)『めしのはんだや2』

『めしのはんだや』に行った。
はんだやについてよく知らない人のために、前回のおさらいをかねてまとめておくと

ここはもともと東北地方から始まったセルフサービスの食堂チェーンらしい。
札幌にも数軒の店がある。以前私は札幌ドームのすぐ隣にある店に行ったのだが
さすがにそこは移転していた。
新しい店は同じ36号線沿いの清田寄りにある。

この店の一番の特徴はライスの量の多さだ。
メニューには『めしミニ』『めし小』『めし中』の3種類があり
『中』を頼んでもどんぶり飯が大盛りで出される。
この『中』の量があまりにも多いため、『大』がメニューに書かれていないのも
以前の日記に書いた。その後の調べによると『大』を頼むとラーメン用の丼に
山盛りの飯が出てくるらしい。・・何とも恐ろしい店だ。

そして、メニューの全てが安いのも大きな特徴だ。
ざっと書いてみる。

めしミニ60円/小80円/中120円
とんこつ/しょうゆラーメン180円
かけそば/うどん100円
チキンカツ160円、焼き餃子80円、コロッケ60円

500円も出せば、めし中120円+しょうゆラーメン180円+焼き餃子80円
+コロッケ60円×2と、もの凄い量の『めし』を食べることが出来る。
1000円も出せば王様気分だ。(そんな安上がりな王様はいないか・・)

そして、一番驚いたのは牛丼が180円だったことだ。
吉野家の牛丼が280円に値下げして話題となり、もの凄い行列が出来ている現在
それよりさらに100円も安い牛丼があるのだ。

280円の牛丼に行列が出来るのであれば、180円なら暴動が起きていても
おかしくないはずなのに、店内はいたって穏やかだ。
同じ280円を出せば牛丼+かけそばが食べられるのに・・。
みんなこのことを知らないのだろうか?

で・・肝心の味に関してだが、値段の割には良いと思う。
学食よりもずっと美味しいし、コンビニ弁当よりもずっと安くて豪華だ。
それ以上に関しては比較してはいけない。

食事には、ご馳走>ご飯>めし>えさの階級があり、はんだやはあくまでも『めし』なのだ。



2001年9月28日(金)『マシュマロ』

映画『スタンド・バイ・ミー』の中に少年たちが焚き火を囲みながら
マシュマロを焼くシーンがある。ふと、これを試してみたくなった。
スーパーで袋に入ったマシュマロを買い、金串に刺してガスレンジで焼いてみる。
一瞬で火がつくのでそれを吹き消してから口に運んでみると・・・

びっくりした。
マシュマロがこんなにおいしいとは思ってもみなかった。
カラメル状に焦げた表面はパリッと香ばしくて、そのすぐ内側にはとろっと溶けた
優しい甘さ、そのさらに奥にはマシュマロ本来のふわふわの層があって・・
と、ちょっと炙っただけで全然違う食べ物になっていたのだった。

私はもともと、そんなにマシュマロが好きではなかったのだがこれで考え方を変えた。
少女漫画で目立たなかった女の子が眼鏡を外した途端に、輪郭まで変わって
ものすごい美少女になってしまったようなコペルニクス的転回なのだ。
やったことのない人は是非試して欲しい。

・・って言うか36歳にもなってマシュマロの味に感動するなと
自分に突っ込みを入れたい気もする。



2001年10月11日(木)『トラウマ』

スーパーに行ったら壁のポスターに大きくこう書かれていた。
『秋のトラ・ウマ レシピ』

トラウマレシピって何だろう?
生き恥サラダとか屈辱どんぶりとか半殺し炒めとか
そんなイヤなメニューなのだろうか?
あ・・若気のイタリアンってのも語呂がいいかも・・

そんなことを考えながらもう一度、ポスターを見直してみる。
『秋のトク・ウマ レシピ』

お得で旨い『トク・ウマ レシピ』か・・
・・・紛らわしい。



2003年9月28日(土)『柿の種』

柿の種というのも微妙な言葉だ。

こう書いただけでは、果物の『柿の種』かそれを真似て作られた
せんべいの『柿の種』かの区別が付かない。

本物か偽物かで言えば、せんべいの『柿の種』の方が明らかに偽物なのに
ネーミングな同じで、しかも妙にメジャーになっているため
本物を語る場合も『柿(果物)の種』と言うように変な注釈を付けなければ
正確に語れないと言うおかしな構造になっているのだ。

例えば『もみじまんじゅう』は、きっちりと『まんじゅう』と言い切ることで
『モミジの葉』との区別を付けている。鳩サブレだって同様だ。
これがもし『もみじ』や、『鳩』だけだったら
『もみじ(葉っぱの方)』とか『鳩(空を飛ぶ方)』などと余計な注釈が必要になる。
だから柿の種も即刻『柿の種せんべい』と名乗るべきなのだ。

だいたい最近の『柿(果物)の種』は丸い形のものが多い。
恐らく、そういう品種が主流になっているのだろう。
もはや『柿の種(菓子)』は『柿(果物)の種』の形すらしていないのだ。
どうせその名を名乗るなら、いっそのことその形を
今一般的な『柿(果物)の種』の形に変えてみてはどうか?
そうしたら今よりサイズが大きくなって、せんべい好きの人も喜ぶかもしれない。

『柿の種(菓子)』とピーナツを混ぜた『柿ピー』と言う言葉も困る。
なぜ、『の種』を省略するのか?
『ピー』はわかるが、全然『柿』ではない。

今に柿(果物)も種なしの品種が主流になって
子供たちは『柿(果物)の種』の存在を忘れてしまうかもしれない。
そして、やがて『柿の種(菓子)』だけが残るのだ。
・・・ものすごい違和感を感じる。
そう。まるで栗田貫一が声を当てているルパン三世みたいな違和感だ。

柿の種(以下ずっと菓子のため注釈は省略)についてさらに納得いかないものがある。
柿の種チョコ。あれは何だ?
甘いのか辛いのかしょっぱいのか、はっきりさせるべきだ。

私は割と変な食べ物が好きな方だが、柿の種チョコに関しては
チョコはチョコ、柿の種は柿の種で別々に食べた方が絶対にうまいと思う。
さらに最近は無印良品で『イチゴ味の柿の種チョコ』が売られているらしい。

こうなるともはや、何が柿で何がイチゴで何が種で何がチョコなのか
全然訳がわからなくなってくる。変な進化をするなと言いたい。

ただ、こんな風に柿の種に対して厳しい私ではあるが
最近買った『チーズ柿種』と『マヨ柿種』はうまいと思った。
妻もハマってしまったらしく、スーパーで見かけるたびに買っている。
実際、せんべいとチーズの相性は、チーズおかきなどで実証済みな訳で
これ自体は全然変な商品じゃないわけだ。
だったらなぜこっちを先に出さなかったのかと言いたい。





2003年4月23日(水)『おやつの概念』

「先生! バナナはおやつに入りますか?」
遠足前の質問として定番のネタだ。
こういう質問が実際にされているのかどうかは別として
そんな先生を、さらに困らせるような商品が登場した。

「先生! シイタケはおやつに入りますか?」



有限会社・久慈食品の『サクサクしいたけ』。
・・・おいしいのだろうか?
私の中の何かが、危険信号を発している。
でもこういう、おいしいのかまずいんだかわからない
トワイライトゾーンにある商品が、思いのほかおいしかったりした時
人は、ものすごい達成感を味わうことが出来るのだ。

グッドジョブ! 俺!
ナイスチャレンジ! 俺!
そんな『嬉しい誤算』を期待して、レジへ・・・

それにしても、これと干し椎茸の境界線は、どこにあるのだろう?
どこからが『スナック感覚のおやつ』で、どこからが『乾燥食材』なのだろう?
疑問に感じながら、一口、食べてみる。
すると・・・

干し椎茸を、そのまんま囓ったような味がした。
おいしいとかまずいとか、そういう評価以前の問題だ。

「え? どれどれ? 私も食べる」
妻がそう言って、『それ』を口に運ぶ。
食べた直後、ものすごく悲しそうな顔をした。
恐らく私も同じような表情をしていたことだろう。

・・・どうしよう、これ。
確かにまずい。でも、捨てるのは勿体ない。
重苦しい沈黙。

その時、天啓がひらめいた。
私は、『それ』をキッチンへと持って行き・・
ざざざざざーーーー。

食べ残しの『おでん』の鍋に、全部放り込んだ。
約30分後、だし汁の中でちゃんと戻ったことを確認し、食べてみる。
すると・・・

うまい! ちゃんと『おでんに入ったシイタケ』の味がする。
それにしてもどうだろう?
戻さないとおいしくない『スナック感覚のおやつ』って・・
これでは本当に、ただの『乾燥食材』ではないか。

パッケージ裏には、次のような文章が書かれていた。
「毎度、サクサクシリーズをお買い上げ下さいまして有難うございます」

まだあるのか? サクサクシリーズ!
そう思ってネットで調べてみたのだが、残念ながら該当しそうな商品は
見つからなかった。

有限会社・久慈食品。
奴ら、次はどんな食材をサクサクさせるつもりなんだろう?
なんだか・・空恐ろしい感じだ。



2003年4月26日(土)『モコモコアイス』

モコモコアイスという商品を、覚えているだろうか?
おそらく業界初の缶に入ったアイスクリームで、蓋を開けると
どういうわけか、もこもこもこっと、中のアイスが
まるでヘビ花火のように出てくるという謎の商品だった。

TVCMを見て感動した私は、親にせがんで買ってもらい
夕食後、家族全員で『それ』を開けた。
すると・・・

ぷしゅーーーっ!!

缶切りを入れた穴から、ピンク色の泡がゴボゴボと吹き出し
あたりをベタベタにしてしまった。
で、結局アイスはちっともモコモコしないまま
みんなで柄の長いスプーンを使って、缶の切り口に気を付けながら
中に入っているアイスを食べた記憶がある。

アイスは妙な癖があって、ちっともおいしくなかった。
確かピンクのイチゴ味のほかに、緑のメロン味もあったはずだ。

変なアイスと言えば、カレーアイスというのもあった。
ライスの白い部分はバニラで、カレーの茶色い部分はチョコで作られた
割とキッチュな感じの商品だったのだが、なぜか福神漬けだけは本物で
それが妙に味のバランスを崩していた記憶がある。

こういうのって、ひとつ思い出すと、連鎖的に記憶の隅から出てくる。
そう。まるで、CMで見たモコモコアイスのように・・・

今でも謎なのが、トリプルラジカセだ。
カセットを入れる場所が横に3つ並んでいて、その両脇にスピーカーがあるという
やけに横に長いラジカセだった。2つならダビングが出来て便利だと思うが
果たして3つあることのメリットって、何だったんだろう?
ダビングしながらエアチェックする? それとも2本同時にダビングが出来る?
あるいは1本目の再生が終わったら2本目・・3本目と、長時間再生が出来る?
今こうして考えても、何一つ便利さを見いだせない。

3つあると言えば、カップうどん。
昔、『あげ』が3枚入ったカップうどんが確かに売られていた。
小さい『あげ』ではなく、赤いきつねサイズの大きな『あげ』だ。
それじゃ、キツネうどんじゃなくて、うどんギツネだろ?
・・と、ひとり、謎のつっこみを入れた記憶が確かにある。

こういう懐かしいおばか商品、今復刻したら大人買いしてしまいそうだ。
特にモコモコアイス。今なら缶切りを使わなくても開けられるタイプの缶があるわけだし
もう一度出したら、案外売れるのではないだろうか?



2003年4月30日(水)『同名他店』

『はげ天』という名前の天ぷら屋さんがある。
ここって結構微妙なネーミングだと思う。
例えば、頭の薄い上司に「腹減ったな。天丼でも食うか・・」と言われて
「いいですね」と答えた目の前に『はげ天』の看板があったとしたら
どうリアクションを返すべきなのだろうか?
私の場合、一言も返事を返せなくなってしまい、かえって気まずい雰囲気に
なってしまった経験がある。

『はげ天』の本店は帯広にある。
豚丼発祥の店とも言われているそうだ。
一度本店に行ったことがあるが、店主らしき親父さんは本当にハゲだった。
恐らく初代の店主がハゲだから、この名前が付いたと思われるので
そう言う意味では正しく遺伝していて素晴らしいと思う。

ただひとつ心配なことがある。今後、はげ天の歴史の中でハゲではない跡継ぎが
出来た場合、どう対処するのだろう? あるいは女の子しか生まれなかった場合
婿養子の条件は、ハゲ・・なのだろうか?
まぁ、私が心配しても仕方がないのだが・・・

『はげ天』札幌店は、南2条西3丁目・カタオカビル地階にある。
ちゃんと名物の豚丼も食べることが出来る。

で、ここで本題になる。
実は、札幌にはこれと全く同じ名前の別の店があるのだ。
それが、銀座『ハゲ天』札幌パセオ店と、札幌ステラプレイス店だ。

ひらがなの『はげ天』と、カタカナの『ハゲ天』・・
なんかすごく紛らわしい。
例えば豚丼を食べたくて、パセオの『ハゲ天』に行っても
そんなメニュー、ハナから無いのだ。

カタカナの『ハゲ天』のホームページを見たところ、
『はげ天』と『ハゲ天』が競合しているのは札幌だけらしい。

さらに電話帳で調べてみた。
『ハゲ天』は『銀座ハゲ天』として、『き』の項目に載っている。
『はげ天』はもちろん、『は』の項目だ。
しかしそのすぐ下に『はげ天おの』という店もある。
どうも、これも別の店のようだ。

しかしこういう同名の同業者って、仲は良いのだろうか?
ハゲだけに、不毛な争いは避けて欲しいのものである・・って、
分かりやすすぎるオチでごめんなさい。



2003年5月05日(月)『食べるきのこ』

GWは、妻の実家のある旭川に行った。
その帰り道、砂川ハイウエイオアシスで
興味深い商品に出会ってしまった。それがこの、『食べるきのこ』。
フリーズドライされた『おやつ感覚で食べるきのこスナック』である。



先月ネタにした『サクサクしいたけ』にしてもそうだが
なぜ、人は皆、きのこをお菓子にしたがるのだろうか?
疑問に思いながらもパッケージ裏を見てみる。
そこには、こう書かれていた。

品名 食べるきのこ
名称 きのこ菓子
原材料名 しめじ、マルトース、パームオイル、食塩、胡椒

万一お気づきの点がございましたら、お客様相談室までお問い合わせ下さい。

『名称 きのこ菓子』というシュールな言葉が当たり前のように書かれている。
それはそれとして、さらに気づいたことがある。
このネーミングは、ちょっと変だ。

食べるきのこ。
『食べる***』と名付ける以上、***の部分には食べられないものの名前が付くべきだ。
例えばこんな感じに・・・

食べるスプーン。
通常、金属やプラスチックで出来ているスプーンを、デンプンを原料にして作る。
土に還る素材なので、キャンプなどでもゴミにならなくて便利。
スープに浸しておくと柔らかくなるので、そのまま食べることも出来る。
しかし、その後そのスープをスプーンなしで飲まなければならなくなるのが唯一の欠点。

・・・書いているウチにちょっと欲しくなってきた。
とにかくこんな感じで、食べられないものに付けてこそ『食べる』という言葉が活きてくる。
『食べるきのこ』では、当たり前すぎて、『きのこ菓子』であるところの新規性・・というかむしろ新奇性?
は、全く伝わらない感じがするのだ。

などとブツブツ文句を言いながら、『食べるきのこ』を食べてみる。
・・・あれ? 普通に食べられる。
というか、むしろ美味しい。
そうだ。この感覚だ。この感覚こそ私が当初、『サクサクしいたけ』に求めていた『嬉しい誤算』なのだ。

妻「ほんとだ。おいしい。フリーズドライって凄い!!」

と、妻も感心している。
グッドジョブ!! (有)パックスK

その他、隣にはこんなものも売られていた。



フリーズドライの『にんにくスナック(カレー味)』だ。
これも文句なく美味しい。
砂川ハイウエイオアシスは、変なお菓子のパラダイスかもしれない。

<お願い>
これらの商品が、札幌で売られているのを見かけた方は
ぜひ、ご連絡下さい。実は結構、ハマってます。
特にフリーズドライのニンニクは、他にも確か梅味/味噌味があったはずなので
ぜひコンプリートさせたいのです。


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