○エッセイ〜ゲームの話編


200年7月1日(土) 『キャビアの大盛り』

キャビアという名前のゲーム会社がある。
元セガの社長・中山氏の会社であるとか
資本金が3億円であるとかが設立当時 話題になったが
やはり一番すごいのはネーミングだろう。
何と言っても世界三大珍味である。
設立パーティーにキャビアは出たのだろうか?
お中元やお歳暮は やはりキャビアなのだろうか?
それを買う際 宛名:キャビア お品代:キャビアという
ある意味完璧な領収書が書かれたのだろうか?
熱血若手社員が「今のキャビアは腐ってるんですよ!」
なんて声ふるわせて告発する日は来るのだろうか?

この会社には徳間の資本が入っていると言うことで
宮崎アニメがゲーム化されるのかという話題も多く聞かれた。
しかしどうせなら「サザエさん」をゲーム化して欲しい。
登場人物が全て海産物のこのアニメがキャビアで発売されて初めて
話に一本 ぴしっと筋が通りそうな気がする。

・・という感じで いろいろ興味は尽きないキャビアだが。
一番気になるのはこの会社に「大森」という苗字の人が
いるのかだろう。もしいたとしたら電話で
「いつもお世話になっております。キャビアの大森です。」
と言っているに違いない。これを聞いた相手は果たして
混乱しないのだろうか?

ネーミングのインパクトという意味では イサオも負けていない。
オーナーの下の名前を社名にする感覚が吉田戦車っぽくて素晴らしいし
大きな会社だと思うので イサオという名前の社員もいるだろう。
「イセ イサオ」なんていう語呂の良い名前の人がいたら最高だ。

イサオのイセイサオ
イセのイソでサオふりまわし
マサオのミサオうばう

なんていう谷川俊太郎風(?)の言葉遊びが出来る。
キャビアの大森さん。イサオのイセイサオさん。
実在してたらメール下さい。



2000年7月10日(月)『ガリバーボーイの暗号』

『空想科学世界ガリバーボーイ』というソフトを担当していたとき
原作者の広井王子さんから「なんか・・暗号が欲しいんだよね。」
と言われて 以下のようなものを考えた。

さけとなみだと かなしみと
かなしいうたが なりひびく
ばかなおとことわらってくれ
のめばあのこをおもいださせ
れんれんとただひとりきりで
じぶんじしんの からださえ
のんでけしさりたいこのまま

一番左の文字を上からタテに読むと「さかばのれじの」となり
その後 一番右の文字を下からタテに読むと「まえでせれくと」となる。
その通り酒場のレジ前のでセレクトボタンを押すと隠し扉が開くという仕掛けだ。

その後 このゲームはセガサターンに移植されることになった。
シナリオの変更はないと聞いていたので安心していたのだが
ある程度開発も進んだある日 ちょっと困った問題が起きた。
セガサターンのパッドにはセレクトボタンがないのである。
しかたなく暗号を以下のようなものに作り直した。

さんばの りずむで なげきっす
かーにばるは いま まくひらく
ばすえの さかばで おどりつつ
のんで このよの うさ はらえ
れんやに わたる かーにばるで
じんせいひとよのまつりとおもえ
のこるのはただ かみくずのやま

・・・で 結局何が言いたいかというと ゲームハードごとに
ボタンの名前が違いすぎるのは勘弁して欲しいのである。
名称だけでも統一してもらえないだろうか?

任天堂の十字ボタンが セガの方向ボタンだったり
PCエンジンは確か 方向キーだったと思う。
L/Rキーと呼ぶメーカーもあれば L/Rトリガーと呼ぶメーカーもある。
正式名称がバラバラなので 複数のハード向けに開発するソフトハウスは
混乱してしまう。
ソニーの担当者の前で「L/Rトリガーが・・」と言ってしまい
「こいつ・・セガ寄りだな・・」とバレてしまった人はいないのだろうか?

ボタンと言えば『北へ。』の開発中 セガの担当者さんが言った
「パッドのボタンは サターンの丸コンと一緒ですよ」という言葉を信じて
カラオケゲームの仕様を考えていたら その後いきなり ボタンが2個少ない
実機が発表され 悲鳴を上げた企画者は私だけだろうか?



2000年8月16日(水)『やらせ』

前の会社にいた頃 時々テレビの取材があった。
「ゲーム制作の現場に潜入!」という感じのレポートが多かったのだが
そういう日は社員全員でフロアーにある『映ってはいけないもの』を片づけた。

あってはいけない機材、いるはずのない人、作っているはずのないタイトル
品位を疑われるような人形やポスター・・・ゲーム会社にはそう言う気まずいものが
たくさんあるのだ。そうやって万全のチェックをした上で

レポーター「こちらには何があるんですか?」
部長「あっ! ダメです! 映さないで下さい!」

というようなハプニングが演出されたりする時もある。
そうやってもったいぶった後「それじゃ特別に・・」と言って
会社が宣伝したくて仕方のない新作ソフトの画面を見せたりするのだ。

ただのレポートでもこれだけ『演出』が加えられているのだから
きっとバラエティ番組などはもっとすごいのだろう。

毎週のようにトラブルに見舞われ、その度に「みんなの力で」克服して行く
番組出身のアイドルユニット・・放送終了ぎりぎりに、それこそ水戸黄門の
印籠が出るのと同じくらいのタイミングでゴールするお笑い芸人・・
なぜかローカルCMにも出演している「素人」・・

「猿岩石は現地で重大な事故に遭ったため企画続行が不可能になりました」
「ドロンズは放送予定時間より早くゴールに着いてしまったため
その時の模様を録画でお送りします」
・・・こんな事態になるよりは『やらせ』の方が面白いような気がする。

ドラマを見て「あんなのウソじゃん!」と怒る人がいないように
作り物だからこそ伝えられるリアルもあると思う。
でもあんまりバレバレだとさすがに引いてしまうけど・・・



8月18日(金)『お金の流れ』

タバコの味を決める「ブレンダー」という人たちは
毎日仕事で何本もタバコを吸っているにも関わらず
休憩時間になると自分のタバコを吸うそうだ。
ゲームの不具合を確認する「デバッガー」という人たちも
朝10時から夕方6時までゲームをプレイしているにも関わらず
家に帰ると自分用のゲームで遊んでいるそうだ。
同じ人が似たようなことをしているのにお金の流れは全く逆になっている。

もちろんデバッガーはデバッガーなりのプロの技があり
会社はそれに対してお金を払っているわけだし
仕事でゲームをプレイするという行為自体も「好きでもないゲームを何度も何度も
チェックする」と言い換えられるので、それ自体は不思議でも何でもないのだが
時々その境界線が曖昧なものもある。

例えば、ホストクラブのお客さんには風俗関係の女性が多いらしい。
風俗関係の女性は男性と接するのが仕事だと思うのだが
そこで稼いだお金を男性と接することで消費していることになる。
お金をもらう側が若い美男美女で、お金を払う側がおじさんやおばさんであれば
話は分かりやすいのだが時々その逆の場合もある。

あるいは同一人物の場合だって考えられる。
例えば風俗嬢・Aさんが通うホストクラブの男性・B君が
逆にAさんの働くお店に行った場合、今度はB君がAさんに
お金を払うことになるのだ。

今札幌で牛のマークのタクシーが走っている。
これはゲートウェイというパソコン会社の宣伝なのだそうだ。
この場合、ゲートウェイがタクシー会社にお金を払っていることになる。
ではポケモンジェットはどうだろう?
ポケモンの会社が航空会社にお金を払っているのだろうか?
・・恐らくその逆なのだろう。

ポケモンはメジャーすぎるのでわかりやすいのだが
その中間・・例えば「カントリー娘バス」などがあったとしたら
お金を払うのはどっちなのだろう?



2000年9月07日(木)『賭博』

パチンコ屋の換金システムは謎だ。
例えば私がパチンコでフィーバー(死語?)して玉をたくさん出したとする。
私はそれを持ってカウンターに行き「両替お願いします」と言う。
するとお店のお姉さんはライターの石(お店によって違うが・・)と交換してくれる。
ライターの石なんてもらっても嬉しくないので私はそれを持ってお店を出て
すぐ近くにある「景品交換所」に行く。すると、そこにいるおばさんが
ライターの石をお金に換えてくれるのである。
こうして私は結果的に「パチンコでお金を儲けたことになる」というシステムだ。

パチンコ屋は玉と石を交換しているだけだから賭博行為はしていない。
景品交換所も石を買い取っているだけだから法的に問題はない。
だからパチンコは賭博ではないと言う理屈らしい。
・・・そんなものなのだろうか?

この理屈が通るなら売春だって合法になる。
男性がお金を出して景品を買う→男性が女性と交渉を持ちその見返り・・じゃなくて
愛情表現として景品をプレゼントする→女性はその景品を換金する。
これで直接お金をやりとりすることなく、合法的に売春行為が行える・・・わけがない。
そうなるとやはり、パチンコ屋の換金システムはどこかおかしいと言うことになる。

別にパチンコ屋は違法だから捕まえろと言っているわけではない。
今のようなある意味バレバレの換金を行っているのならお店で直接パチンコ玉とお金を
交換できるようにした方がコストも安くなるし防犯上のメリットもあるはずだと思うのだ。

こんなこと私に言われるまでもなくパチンコ屋さんは感じていることなのだろう。
しかしそれが実現されていないと言うことは・・・法律に問題があるのだろうか?

賭博行為の合法/非合法を決める境界線も曖昧だ。
賭け麻雀や野球賭博とした場合、おまわりさんに捕まってしまうが
同じギャンブルである競馬、競輪、競艇などは問題なく出来る。
この違いはどこにあるのだろう?
来年からはサッカーくじが導入されるらしい。
そうなると野球がダメでサッカーならOKという基準がますますわからない。

理由はともかく国が認めたらOK!
それ以外のことを民間がやったらダメ!
・・こういうことなのだろうか?

例えばインターネット上にゲームセンターを作るとする。
ゲームで勝つとポイントがたまり、そのポイントで景品がゲットできるとしたら
これは違法になるのだろうか?

例えばプロバイダーがオンラインゲームセンターを用意し
「勝てば勝つほど接続料金が安くなる。大勝ちしたらタダで繋ぎ放題!」
というシステムを導入したら結構話題になりそうな気がするが
これも違法なのだろうか?

最近は家庭用ゲーム機もネットに繋がるようになってきているので
我々ゲーム屋もこの辺の法律に詳しくなっておかないといけないのかもしれない。



2000年11月24日(金)『情報操作』

先日テレビを見ていたら「テレビゲームの悪影響」について調べる興味深い実験が行われていた。
番組ではまず、普段からよくテレビゲームで遊んでいる子供と全く遊ばない子供を集め
二つのグループに『残酷』というテーマの絵を描かせていた。
その後、出来上がった絵を見せて「ゲームを遊ぶ子供の描いた絵は残酷なものが多い。」
と結論付けていた。

確かにそこで紹介された「ゲームで遊ぶ子供たち」の絵は「矢の刺さった猫の死体」や
「犬をナイフで斬りつける男」など残酷なものが多かった。
それと比較すると「ゲームで遊ばない子供たち」の絵は「いじめられているらしい集団」や
「暗そうな男の子の絵」など、曖昧なものが多かった。

・・・ただ、ちょっと待って欲しい。
『残酷』というテーマで絵を描かせたのだから残酷な絵が出てきて当然であって
テーマに沿って精一杯に想像力を働かせた力作が「悪影響の象徴」として
取り上げられてしまうのはどうなのだろう?
考え方によっては小学校高学年にもなって、意図の伝わらない薄らぼんやりとした絵しか描けない
「ゲームで遊ばない子供たち」の想像力の欠如の方が問題ではないだろうか?

しかし番組はそんな疑問を差し挟む余地もなく進行する。
その後、アメリカで発売されている残酷なパソコンゲームの映像が紹介された。
確かにすごく残酷なゲームだ。しかしこれは厳密に言えば「テレビゲーム」ではなくて
「パソコンゲーム」であり、しかも日本語版は出ていない。このため先ほど残酷な絵を
描いた小学生たちがこのゲームを遊んでいる確率はものすごく低い。
・・・ここでもいつの間にか論点がずれているのだ。

なんだかすごく悪意を感じる構成だった。
最初から「テレビゲーム=子供に悪影響」という「定説」があって
その説得材料として番組が作られている感じだ。
もし先ほどの実験で「ゲームで遊ばない子供」が実はものすごいホラービデオマニアで
想像を絶するようなグログロの絵を描いたとしたら、スタッフはどうしたのだろうか?

番組ではさらに「ゲームの技をマネして浮浪者を襲った子供の話」などを紹介して
ゲームの悪影響を強調する。しかし最終的な結論としては司会者が
「まぁこれだけでは判断できませんけどね・・」と「逃げ」のコメントで締めている。
しかしこの番組構成では、ほとんどの視聴者がゲームに対して悪い印象を持つと思う。

・・・何度も言われていることなので、これくらいでは腹は立たないが
以前、読売新聞で「20世紀の功罪」という題の記事を見たときはちょっとぐっと来た。
これは20世紀中に発明された物のうち「良いもの」と「悪いもの」をトップテン形式で
リストアップしたもので詳しい順序は忘れたがこの中でテレビゲームは当然のように
ワーストテン入りをしていた。確か・・トップが「戦争」で「テレビゲーム」は
「原爆」や「地雷」に次いで7位ぐらいだったと思う。
・・・私は毎日、原爆や地雷に匹敵するくらい恐ろしい物を作っているらしい。

こんなところで力説するまでもないことだが、「テレビゲーム=悪」という図式は
かなり無理がある決め付けだ。確かに残酷な物もあるし猥褻な物もある。
でもそれは、したり顔でゲームを批判する「テレビ」だって同じ事だ。
テレビドラマの影響でバタフライナイフが問題になったこともあるし、
後に犯罪者となる宗教家を有名人と対談させて信者獲得に間接的に協力したのもテレビだ。
テレビゲームをワーストテン入りさせた新聞だって、戦時中は「誤った思想」を国民に
押しつけた過去があるのではないだろうか?

残酷な歌詞のパンクロックがあるから「音楽は子供に悪影響を与える」のだろうか?
猥褻な描写がされているから「小説は子供に悪影響を与える」のだろうか?
ヘアヌード週刊誌が売られているコンビニは悪か?
なぜかゲームだけが、こういう無茶な決めつけをされているのだ。



2000年12月09日(土) 『クリスマスツリー』

クリスマスツリーというのも、もう少し進化して良いように思える。
一番不満なのは収納性だ。大きなツリーは見栄えがするが
クリスマス・シーズン以外の11ヶ月、押入の中で嵩張るのは困りものだ。
組立式のツリーというのは無いのだろうか?
例えばレゴ・ブロックのように細かいパーツがあって
それを自由に組み合わせて自分好みのクリスマスツリーが作れるとか・・・
スケルトンのブロックの中に発光ダイオードを入れれば
ツリー自体が光って綺麗かもしれない。
光るパターンもちょっとしたICで制御していろいろ変えられると便利だ。

どうせなら昔あった電子ブロックのようにいろいろな電子パーツを組み込んで
人が近づくと音楽が鳴ったり、音に反応して光のパターンが変わったり・・・
と言った機能が追加できれば楽しそうだ。

デザインが良くて収納性があって、自由にカスタマイズ可能なクリスマスツリー
・・・ちょっと欲しくなってきた。



2000年12月14日(木)『余裕』

・・・仕事が忙しくなってきたような気がする。
いや、「忙しい」という言い方は正確ではない。
調子さえ良ければ余裕で終わる量だ。
ただ、その調子の良さを維持して行くのが結構難しい。

書いていて、ちょっと行き詰まったら付近をうろうろ歩いてみる。
あるいは外の空気を吸いに出かける。あるいは音楽を聴く・・・
今まではこれに加え「煙草を吸う」という選択肢があった。
私がこれまで禁煙を躊躇していたのは実はこれが一番大きな理由だ。
しかし、煙草をやめて2ヶ月以上たった今、ようやく煙草の力に頼らなくても
ちゃんとものを書けるという自信が持てるようになった。

会社にいて行き詰まったら、家に帰って書いてみる。
それでも駄目な場合は1、2時間眠ってから起きて書く。
今日のノルマは余裕で終了。

・・・大切なのは「余裕だよ」と思う気持ち・・
「わー大変だ忙しいどうしよう!!」と思っていたら絶対に出来ない。
書いてるとすごく楽しい。だから毎日書く。そしたら余裕で終わる。
「月曜の朝までにやらなきゃいけない」のではない。
「月曜の朝になったら出来てる」のだ。



2001年1月6日(土) 『在宅勤務』

冬休みはまだ終わっていないのだが今日も朝から在宅勤務。
会社のメールも自宅に転送してもらっているので相手先の会社と
問題なく仕事のやりとりが出来た。
・・・このままずっと冬休みのままでも支障無く仕事が進められそうな気もする。

もちろんお互いに顔を合わせてこそ生まれるメリットもある。
だから例えば週に1回、必ずミーティングをしてあとは在宅勤務という風にすれば
職種によっては、かえって効率が良くなるのではないかと思う。
週に一回の通勤なら都心に住む必要もなくなり通勤ラッシュも軽減され・・と
社会的にも色々メリットがありそうだ。

在宅だとサボる人が増えるかもしれないが、そういう人は実は出社していてもサボっている。
かえって在宅の方が結果だけをシビアに求められるのでちゃんと働くのではないかと思う。
(こんなに夜遅くまで頑張ってます・・というようなアピールは通用しない)

海の綺麗な南の島で、波の音を聞きながらのんびりとキーボードを叩く暮らしっていいなと
思いながらも、そんな環境で泳ぐことも出来ずに、ひぃひぃノルマに追われて
半泣きになりながら徹夜する図と言うのはかえって悲惨な気もする。



2001年1月7日(日) 『新春歌謡ショウ』

『サクラ大戦・帝国歌劇団新春歌謡ショウ』を見るため東京へ・・
会場の青山劇場ではゲーム内のキャラにコスプレした人たちがたくさんいて
みんなものすごく気合いが入っている感じだった。
この会場は「子供の城」に併設されているため
お父さんとお母さんに手を引かれた3歳ぐらいの男の子が
フリフリのスカートを着た太ったお兄さん(アイリス?)を不思議そうな目で
見つめていると言った「未知との遭遇」シーンを目撃することもできた。

ショウの内容も充実していた。
お客さんを盛り上げ、笑わせ、感動させ、喜ばせ、参加させるノウハウが
たくさん詰まっていて非常に勉強になった。
制作者も出演者も、もちろんお客さんも楽しそうだった。

サクラ大戦のような大作ゲームは、どんなに頑張って作っても1年〜2年
下手したらそれ以上の時間が制作にかかってしまう。
その間にお客さんの心をつなぎ止めておく効果が、この歌謡ショウにはあると思った。

聞いた話では5日間の公演を全部見ている人たちもたくさんいるらしい。
SS席8000円のチケット×5回で計算すると4万円。
グッズ代や交通費、ホテル料金などを入れるとどのくらいの出費になるのだろう?
千人規模の会場がこれだけ満員になるのは一般的な演劇などと比較しても異例らしい。
サクラ大戦という作品のために書かれた楽曲数は5年間で100曲を越えていて
これも日本一なのだそうだ。



2001年1月10日(水)『リテイク』

仕事のリテイクがどばっと来た。
結構量があったので「いつまでに終わらせればいいですか?」とメールを出し
返事を待つ間、ちょっとでも進めておこうとキーボードを叩いていたら
思っていたより順調に進んで、返事が来る前に終わってしまった。
間抜けな独り相撲みたいで妙な気分だ。



2001年1月20日(土)『Noと言わない企画者』

『No』と言う人はきちんと自己主張をする格好いいタイプで
『No』と言えない人は優柔不断なダメ人間。
・・そんな風に思われている風潮がある。
実際、頭のいい人ほど誰も文句の付けようがない『立派なNo』を言ってくる。
しかし、本当にそうだろうか?
最近、何にでも『No』と言い続け、「それじゃ何が『Yes』なの?」
と聞かれても何も答えられないタイプが増えてはいないだろうか?
みんなが『No』だと思いこんでいるものを『Yes』に変える力・・
そんな能力こそが、今求められているのだと私は思う。

ちょっと前、『たまごっち』がものすごく売れていた頃
当時いた会社の上司が私に「ウチでもああ言うゲーム出せないか?」
と聞いてきたことがあった。その時私は即座に『No』と言った。
「どんなものを作っても『たまごっち』のマネになります。」
しかし上司は引かなかった「でも何かあるだろ? 考えてくれ!」
その時の上司の恐い顔(この人はデフォルトで顔が恐いのだ)に圧倒され
私もつい「ゴールデンウィークの宿題にさせて下さい」と言ってしまった。
その時に考えたのが『歩数計付きゲーム』だ。たまごっちに歩数計機能を
付けるというアイディアひとつで、私の中で『No』だったものが
『大Yes』に変わった。

しかし作っている間も、会社の中の半数以上・・感覚的には8割ぐらいの人が
この企画に対して『No』と言っていた。
中にはあからさまに馬鹿にする人もいた。しかしその顔の恐い上司によって
強引に製品化され、結果的にはミリオンセラーになった。
あの時、あの顔の恐い上司が「でも何かあるだろ?」と言わなければ
私は『歩数計付きゲーム』を作っていなかったのだ。



2001年1月24日(水)『ひとつだけ』

「ドリームキャスト生産中止!!」
セガ自体が否定しているにも関わらず、新聞でもTVでも
バンバン報道されているのはどういった事情なのだろう?

これが最終的にどう落ち着くのか、現時点では何とも言えないが
ひとつだけ・・・ドリームキャスト立ち上げ当時から参入していた
ソフト開発者のひとりとして、今・・セガに問い質したいことがある。

後藤ヨシオって、一体誰だったんですか?



2001年1月25日(木)『トルネコ』

もっと不思議なダンジョン9階。私は余裕シャクシャクだった。
装備品は「正義のそろばん+4」と「鋼鉄の盾+12」
盾には「攻撃跳ね返し」、「毒無効」などの効果が合成されている。
そして何より「シャドウの指輪」を持っている。
これは罠の位置がわかる指輪だ。これがあれば罠の心配もなくなる上に
逆に罠を利用することも出来る。順調だ。・・恐いくらいに。

道具屋に行くと2000Gの巻物が売られていた。
ラッキー!! これは恐らく「メッキの巻物」だ。
11階から盾をサビさせる敵が出てくるのでちょうど良いタイミングだった。
店を出た私は、おもむろにその巻物を読む。すると・・・

「どろぼー!!」と店主に叫ばれる。
巻物は「引き寄せ」だったのだ。杖を振って攻撃を試みるが・・空振り。
私の操るトルネコは、500回目の『ご臨終』となった。

・・・何書いてるかわからない人のために説明すると
これは私がPSソフト『トルネコの大冒険2』をプレイしている様子なのだ。
ずいぶん昔に出たソフトなのだが未だにハマっている。
特に禁煙やダイエットのイライラを紛らわすのには最適だと思う。

難易度は高いのだが、負けたときは必ず「自分が悪い」と実感させられる。
人は一般的に『他人の成功は自分のおかげだと思い
自分の失敗は他人のせいだと思いたがる』傾向があると思うのだが
これに関しては毎回に自分の愚かさを実感してしまう。

くやしくてもう一度挑戦すると、今度は違う失敗をしてのたうち回る。
さらに頑張る。頑張れば何とかなりそうな気が毎回する。
しかし今度はさっきと同じ過ちを犯す。・・と言った感じで気が付くと朝。
いい加減にしろと自分に言いたい。



2001年1月26日(金)『トルネコの続き』

トルネコに関する話の続き。
実はこのゲーム、お手本がある。『ローグ』と言うパソコン用ゲームだ。
新人だった頃、私はこのゲームにハマっていた。それを見たT先輩が
「これ家庭用ゲームに移植したら結構いけると思うんだよね。」と言った。
『初代トルネコ』が出るずっと前の話だ。
あの時、その先輩の話を聞いて『PCエンジン版ローグ』を出していれば・・
と思うこともあるが、出していたとしても『トルネコ』のように売れたとは思えない。

実際、その先輩と話をした1年ぐらい後にセガからゲームギア版の『ローグもどき』が
出たのだがこれは全然売れなかった。オリジナルをアレンジする能力や発売する機種や
キャラクターやタイミングや運など、ヒットするには色々な要素が必要となるようだ。



2001年1月27日(土)『おせっかい』

仕事でいつもWZエディターを使っている。
これは文章をひたすら書くためのソフトで、それ以外のワープロ的な機能は全くない。
文章に絵を貼り付けることも出来なければ文字フォントも選べない。
色つき文字も使えないし、ルビ機能もない。その代わり処理が軽い。
しかも検索機能が充実している。特に「グローバル検索」が便利だ。
これはフォルダーの中にある複数のテキストファイルから特定の文字列を検索してくれる機能だ。

例えばシナリオを書き終わった後、急に主人公の名前が「はんぺん」から
「ハン・ペーン」に変わった場合、この機能を使えば全シナリオ中に使われている全ての
「はんぺん」を一瞬で「ハン・ペーン」に修正できるのだ。

と言うことでWZエディターに慣れてしまった私はよっぽどのことがない限り
ワープロソフトを使わない奴になっていた。
しかし最近、企画書を作るためMSワードを使ってみて驚いた。
『余計なお節介』がたくさん入っているのだ。
一番困るのがオートインデントだ。例えばこんな文章を書いたとする。

第1章 おでん帝国の興亡
  ○はんぺん王子とガンモ姫
  ○ダイ=コンの反乱
  ○つくねの改革

第2章 そして闇鍋へ・・
  ○湯豆腐はどこまで湯豆腐なのか?
    豆腐と白菜、くずきりまでは許せる。
    しかし鱈を入れたら「鱈ちり」になってしまうのでは?

この文章の2行目に「はんぺん王子とガンモ姫」の下に「ちくわ文明の誕生」と
追加した場合、私は以下のように入力したいのでタブを使って整形しようとすると・・・

第1章 おでん帝国の興亡
  ○はんぺん王子とガンモ姫
    ちくわ文明の誕生
  ○ダイ=コンの反乱

MSワードのオートインデント機能は、勝手に以下のように変えてしまうのだ。

第1章 おでん帝国の興亡
  ○はんぺん王子とガンモ姫
  ○ちくわ文明の誕生
  ○ダイ=コンの反乱

ちくわ文明は、はんぺん王子が興したものなので項目としては明らかに1段下なのに
なぜ勝手に変えるのだろう? しかも入力した覚えのない「○」まで付けて・・
色々調べた結果、この設定を解除するためには「書式/オートフォーマット/オプション」と選び
「一括オートフォーマット」のチェックボックスを解除しなければならないことがわかった。

追加機能として選べるのであれば文句は言わない。
なぜ初期状態からこんなものが付いているのだろう? だいたい名前が生意気だ。
『ワード』って何だ? このソフトを使わないと『言葉』は書けないのか?
考えたら『エクセル』も生意気だ。『抜きん出ている』と言う意味だ。そんなに優れているのか?
・・・と、怒ってみても何だか空しい。



2001年2月28日(水)『ピピン@アットマーク』

ピピン@アットマークを憶えているだろうか?
1996年にアップルが開発、バンダイが製造・販売を担当した家庭用ゲーム機だ。
発売前から「コケるぞ・・」と噂され、発売後は話題にすらならなかった。
ネット検索してみたら店頭販売が開始された当時の記事が見つかった。
何だか懐かしい。ただ、今見るとその形がすごくドリームキャストに
似ているように見えるのは気のせいだろうか?
マスコミに「撤退した」と先行報道されている点も似ている。

このピピンと言う名前、英語で「小さく青いリンゴ」と言う意味なのだそうだ。
その名の通り、青いまま熟すことなく腐ってしまった。
ちなみにドリームキャストは夢(DREAM)を発信する(CAST)と言う意味の造語だ。
しかしCASTには「早産する」とか「(木が果実を)熟さぬうちに落とす」と言う意味もある。
・・・やっぱり似ている。



2001年3月26日(月)『洗脳音楽』

以前、『北へ。』と言うゲームを作った。
このゲームのテーマソングが洗脳音楽として非常に評判が高かった。

これはもともと、原作者の広井王子さんが書いた歌詞の断片を見て
作曲家の池毅さんが歌詞の出来ていない部分を「ららら」で補って作曲し
こんな感じでデモテープに吹き込んだものが原型となっている。

♪北へ〜 ♪ららら ♪らんら・らん
♪北へ〜 ♪ららら ♪らんら・らん
♪らららららら・ららら・ららららー
♪胸躍る北へスキップ

それを聞いた広井さんが
「メロディがシンプルで憶えやすいから、あえて歌詞もわかりやすくした。」
と、以下のように言葉を付け加えた。

♪北へ〜 ♪行こう ♪らんら・らん
♪北へ〜 ♪行こう ♪らんら・らん
♪春も夏も秋も冬もね
♪胸躍る北へスキップ

・・・全然変わってない。
池さんも「そのまま来るとは思ってもいませんでした。」
と、ちょっとビックリしていた。
しかし、出来上がった音楽を聴いて感動した。
ものすごく『強い』メロディと歌詞になっていたのだ。
私はどうしても凝った作りにしようと言葉をこねくり回して
かえってインパクトの弱い歌詞を書いてしまう傾向があるので
この強さは見習わなくてはいけないと本気で思う。

ちょっと聞いただけで耳に付くキャッチーさと、いつまでも聞き飽きずに
頭の中に残る耐久度の高さ・・
広井さんと池さんは、この洗脳音楽の秘密を知っているのかもしれない。



2001年4月04日(水)『ペーパーレス』

『IT時代はオフィスのペーパーレス化が進む!』
以前読んだ新聞で、通産省の偉い人がそんなことを言っていたような気がする。
しかしその末端にあるはずのソフト会社は、まだまだ紙資料を求められることが多い。

「CD−Rでデータを頂いて・・それと、とりあえず同じ内容を印刷して
ファイリングした物を航空便で送って下さい」

その『とりあえず』のために大量の紙と多少の電気代とトナー代と
私の作業丸1日分以上が費やされるのだ。

で、印刷された大量の紙を閉じるバインダー(計5000円)には
『地球とオフィスの環境に優しい3つの新工夫』とか
『閉じ具が再使用出来る新・エコロジー仕様』などと書かれている。

・・・ちょっと滅入る。



2001年4月13日(金)『架空のキャラ』

老舗のソフトハウス光栄(現コーエー)には「三国史」や「信長の野望」などを
手がけた有名ゲームデザイナー『シブサワ・コウ』と言う人がいる。
昔光栄で働いていた人とお話する機会があったとき
「シブサワ・コウさんってどんな人なんですか?」
と聞いてみたところ、こんな答えが返ってきた。
「実は私も昔、シブサワ・コウだったんですよ・・」
つまりこの名前は『光栄企画チーム』の作品に付けられた架空のキャラなのだそうだ。
ただ最近、この会社のえらい人がシブサワ・コウと名のってインタビューに答えていた。
どうもシブサワ・コウを襲名したらしい。元シブサワ・コウの人たちはどう思っているのだろう?

架空のキャラといえばファミコン通信(現ファミ通)で昔クロスレビューを担当していた
森下万里子さんと言う女性がいた。優しい語り口と可愛らしい似顔絵で人気だったが
この人も当時の編集長が書き分けていた『別人格』だ。
戦隊ヒーロー物の脚本を担当して、テーマ曲の作詞までしている八手三郎さんも
八手=8本の手=4人と言う意味で付けられた東映企画部の共同ペンネームらしい。

ゲーム業界では有名な話だが天外魔境シリーズの原作者であるP.Hチャダ氏も
架空のキャラクターだ。本当の原作者である足立さんの苗字をアダチ→チアダと
アナグラムにしてある。その前のP.Hも恐らく共同原作者の広井王子氏の名前
Prince Hiroiの頭文字を取ったのだと思う。
このことを知らなかったハ○ソンの社長(現会長)が
「このP.Hチャダにはちゃんと著作権料を払ったのか?」と聞いてきた時
担当の役員が「死んでから50年たってますから大丈夫です」と答えたと言う
うそだかほんとだかわからない笑い話もある。
・・・もう時効だと思うので色々バラしてしまった。



2001年4月16日(月)『RPG』

もう時効だと思うのでバラしてしまう話その2。

私が新人だった頃、T部長がA主任にこう聞いてきた。

T部長「最近、RPGって言葉をよく聞くんだけどよ。あれはどういう意味だ?」
A主任「RPGは『Role Playing Game』の略です。『Role』は巻物という意味なので、
つまり『巻物で遊ぶゲーム』と言う意味です!(きっぱり)」
私「あ・・あの・・」
T部長「なるほどな。だから魔法の呪文は巻物に書いてあるのか!」
私「・・・・・・・・・・・」

当時新人だった私は何も言えなかったが、『Role Playing Game』は
『役割を演じるゲーム』と言う意味だ。『Role』も『Playing』も合ってない。
間違えて憶えてしまったT部長(現常務取締役)がその後どこかで恥をかいていないか
実は未だに心配だったりする。



2001年8月28日(火)『カレンダー』

妻が前にいた会社で短期のアルバイトをすることになった。
最近はゲームも3Dが全盛で、妻のような2Dデザイナーは少なくなっているらしい。
そんな中、急に2Dの仕事が入ってしまったため、元上司の人から
『手伝って欲しい』と連絡が来たのだ。

引退して2年も経っているのに、気に掛けてくれる人がいるのは有り難いと思ったし
我々としても、昔お世話になった会社にこういった形で協力出来るのは嬉しいことなので
妻には無理をしない程度に頑張って欲しいと思う。

出社した妻の話によると、昔と替わらないメンバーが昔通りに暖かく迎えてくれたそうだ。
仕事の内容も昔作ったゲームの続編らしく使っているツールも同じだったので
すんなりと昔の勘を取り戻すことが出来たそうだ。

仕事の合間、ひさしぶりに再会した人たちと雑談をしながら
「なんか、時間が止まってる見たい・・」
と、懐かしい気持ちになってふと目をやると・・・
壁には1998年のカレンダーが飾ってあったそうだ。

・・・なんだか変なオチが付いてしまった。
妻はそのカレンダーをすぐに破って捨てたそうだ。



2001年10月10日(水)『映画』

スクウェアの映画『ファイナルファンタジー』が大コケらしい。
公開も今週中に打ち切りで会社は100億円を越える特別損失を計上。
映画部門からも撤退・・と、かなり悲惨な状態になっていると聞く。

今朝のニュースではソニー・コンピュータエンタテインメントが
149億円の第三者割当増資を引き受けるとのこと・・

私は経済に疎いので間違った認識をしていたとしたら訂正して欲しいのだが
これってつまり、一部の偉い人の道楽で会社が傾いてしまい
ヨソのもっと大きな会社の食い物にされてしまったと言うことだろうか?

それにしても100億の赤字ってすごい話だ。
100万円が誤差に見えてくる。
そう言えば『北京原人』や『ホーホケキョ となりの山田くん』も
かなりの大赤字を出してしまい、いろんな会社が潰れそうになったらしい。
映画ってちょっと怖い。

そんな中、「問題作」とか「超B級」とか色々言われながらも
1、2、3と立て続けに続編を出し続けている
『シベリア超特急』の水野晴郎監督はホントにすごいと感心してしまう。



2001年12月22日(土)『ときメモ3』

クリスマス前の3連休は家でゲームをしていた。
こう書くと何だかお気楽な感じに聞こえるかもしれないが
私の場合、これも仕事のうちなのだ。

一番遊んだのは『ときめきメモリアル3』。
高校卒業までの3年間、勉強やクラブ活動などの学生生活を送り
『伝説の坂』で女の子に告白されるとハッピーエンドになると言う
恋愛シミュレーションゲームなのだ。
ちなみにこの告白場所、1作目は『伝説の樹』で2作目は『伝説の鐘』だった。
果たして4作目にはどんな伝説が生まれるのか今から非常に楽しみだ。

このゲーム最大の特徴はトゥーンレンダリングと言う技術なのだそうだ。
これは3Dモデルのノンフォトリアリスティックなレンダリング手法のひとつで・・
って、書いてる私が良く理解していないので細かいことは省略するが
要するにポリゴンキャラをアニメ絵っぽく表現する手法らしい。

で、その高度な技術によって表現されたキャラクターについてなのだが
・・・なんか恐い。動きも妙だ。精巧な腹話術人形と会話しているような違和感がある。
遊んでいるウチに多少、慣れては来たがそれでもヒロインに魅力を感じることが出来ず
結局名前もちゃんと覚えないままクリアーしてしまった。
これだったら普通に2Dで表現した方がよっぽど良かったと思う。

ただそうは言っても、技術は常に前に進めていかなくてはならない。
例えば『バーチャファイター1』のカクカクしたキャラを見て、それでも熱中して
遊んでくれた人がいたからこそ、その後のシリーズの大ヒットがあったわけで
今回の『ときメモ』も3Dを採用したからこそ良くなった点を認めてあげることが
今後の完成度を高めることに繋がるのだと思う。・・でも私はもういい。

他にもすごい点はある。『ときメモ2』で採用されたEVSがさらにパワーアップ
しているのだ。これはゲームの登場人物がプレイヤーの名前を呼びかけてくれると言う
画期的なシステムだ。私はこっちの方に未来を感じる。
ただ、この機能にしても『長山』や『豊』などの一般的な固有名詞はスムーズに発音を
することが出来るが、あだ名として登録した『でこぽん』は妙に割れた音になっていた。
入力した文字列を何でも自然に読み上げるようになるまでにはまだまだ時間が掛かりそうな感じだ。

あとビックリしたのはスタッフロール。このゲームは『ときメモファンド』と言う名前で
一般投資家から開発費を調達しているのだ。このため通常のスタッフロールの後に
投資家の名前がずらーーーーーーっと並んだ『第2スタッフ』ロールが流れる。
これがものすごく長いのだ。いい加減うんざりしてきたのでスキップ出来ないかと思い
Aボタンを押したら文字が早送りで進み始めた。
早送り可能なスタッフロールなんてゲーム史上初のことだと思う。

その他、充実したミニゲームやストレスのないセーブ/ロードなど
見所は満載なので、興味のある方は是非遊んでみて欲しい。



2001年12月24日(月)『クリスマス・イブ』

ゲーム強化月間(?)なのでシーマンも育成している。
夜中に遊んでいたらこう言われてしまった。

シーマン「今日はクリスマス・イブだぞ! 予定入ってんのか?」

・・・キミに言われたくはない。

そう言えば1ヶ月前、近所の本屋で立ち読みをしていたら
若い女性二人組が『ポロコ』か何かを見ながら

女1「あと1ヶ月だよ!」
女2「・・うん! 頑張ろうね!」

と、両手で握り拳を作って気合いを入れているのを目撃してしまった。
クリスマスまでに絶対に彼氏を作って充実したイブを過ごすぞ!
と言う並々ならぬ決意を感じた。

・・そう言うものなのだろうか?
そうやって、変な強迫観念を感じながら
慌てて変な男を捕まえてしまい傷口を広げるより
一人で静かに自分の趣味に興じている方がよっぽど充実していると思う。
みんなしてサンタクロースに付き合う義理はないと思うのだ。

彼女たちは今頃、どんなイブを過ごしているのだろうか?



2003年9月8日(日)『ドス』

「で・・お前、ドス使えるの?」

前の会社で新人だった頃、先輩に聞かれた言葉だ。
新人にいきなりドスを使えるかどうかを聞くのは
当時のソフトハウスかヤクザぐらいだと思う。

ここで言う『ドス』と言うのは、もちろん刃物ではなくMS‐DOSのことだ。
しかし、その頃のこの業界は、『オタクが作ってヤクザが売る』
と言われていたので、まぁ似たようなものなのかもしれない。

ここでMS‐DOSに付いての説明。
これは要するにパソコンを操作するための命令のようなものだ。

ウィンドウズ系の人なら見たことがある人も多いとは思うが
スタートメニューから「MS‐DOSプロンプト」あるいは「コマンドプロンプト」を
実行すると、以下のようなウィンドウが出てくる。

Microsoft Windows 2000[Version 5.00.2195]
(C) copyright 1985-2000 Microsoft Corp

C:\>


この状態で、例えば

Microsoft Windows 2000[Version 5.00.2195]
(C) copyright 1985-2000 Microsoft Corp

C:\>dir


と入力してリターンキーを押すと
Cドライブの中身を見ることが出来るのだ。
多すぎて一画面に表示しきれない場合は

Microsoft Windows 2000[Version 5.00.2195]
(C) copyright 1985-2000 Microsoft Corp

C:\>dir/w


と入力してリターンキーを押すと複数行に表示される。
それでも見づらい場合は

Microsoft Windows 2000[Version 5.00.2195]
(C) copyright 1985-2000 Microsoft Corp

C:\>dir/p


と入力してリターンキーを押すとページごとに表示される。
こう言うのがMS‐DOSなのだ。

当時使っていたパソコンはNECのPC−9801vmと言うマシンで
その上位機であるPC−9801vxを使っているのは一部の偉い人だけだった。
今では、その何倍も賢いCPUが、子供のオモチャの中に入っている。

それからしばらくして、100メガのハードディスク「リトル・ビーフォー」が出て
その小ささに感動した記憶もある。
今では128メガのラムディスクですら、有り難がられずにその辺に転がっている。

10年ちょっとしか経たないうちに、ソフトもハードも、もの凄く進歩した。
ただ、それを使う我々はと言うと、シナリオがなかなかFixしないとか
原画作業が遅れているとか、プログラマが徹夜続きでへろへろだとか・・
などと、相変わらず似たような問題で悩んでたりするのだ。



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